線香は近年、家庭での仏壇に手を合わせる時やお墓参りに行った時は必ずお供えする必需品であり葬儀にも大切な作法の一つとして重要視されています。
しかし葬儀の時は、抹香(まっこう)を使用したお焼香をあげますが、お線香とどう違うのでしょうか。
お線香を立てるのもお焼香をするのも、先祖や亡くなった方を拝む時に自分の身を清めたりする行為で、意味合いからは同じで、お線香もお焼香も形こそ違いますが使っている原料は同じ物なのです。
葬儀では一人一人お線香に火を点ける手間や時間を軽減するために「抹香(まっこう)を使ったお焼香」に切り替えています。
しかし元々は「仏壇を拝む時」も「お墓参りする時」も葬儀と同じように「抹香(まっこう)を使ったお焼香」を使っていました。
主にお線香に使われている原料は「白檀」や「沈香」などの香木を使用しています。
これを荒く砕いたものが「お焼香」であり、これをさらに粉末状にしたものが一部お坊さんが使う「抹香(まっこう)」に使用され、また、それを棒状にして「お線香」に加工されていくのです。
お焼香は飛鳥時代に仏教の伝来とともに中国から伝わったのですが、お経を上げるときやお墓参り、仏壇で拝む時など仏事では全て線香ではなくお焼香が使用されていたのです。
お線香が誕生したのは安土桃山時代といわれています。
お線香が誕生した葬儀の時、僧侶がお経を読んでいる最中ずっと線香の煙や香りを絶えないようにしていたが、お焼香はひとつまみで約1分しか持たずその代用品を探していたそうです。
その時、薬商人に依頼し朝鮮半島から「竹芯香」という物を見つけてきた。
これは昔からアジアの寺院で使用されており一度火を点けると長時間燃え続けている特徴があります。
しかし竹の焦げ臭いは室内には向かず、それから竹に塗るのではなくお焼香の粉末を固めて棒状にすることを提案。
お焼香に比べ安く作り上げることが出来たと言われています。
長時間燃え続けて値段が安いお線香は江戸時代になると一気に庶民の間に広まっていったのです。
通夜・葬儀に線香ではなくお焼香が使用される理由
お通夜や葬儀では、直接亡くなられた方に向けて拝みます。
この場合便利さや経済性を追求した「お線香」ではなく本来の「お焼香」をあげて供養するのが正式な形となります。その意味合いから現在でも葬儀や通夜ではお線香ではなくお焼香をあげる作法が残っています。
この他にも、お焼香も業務用でとても安いものが販売されており、葬儀に参列する人数が多い場合には焼香時間も短縮されとても重宝なものとなっています。
しかしこのお焼香は、原料によって「臭いがキツイもの」「煙が多く出るもの」があり時には目を傷めたり臭いで具合が悪くなる人もおりましたが、「香りがいいもの」や式場内の煙感知器が作動しないように「煙が少ないもの」が主流になっております。